2020年08月09日
人が亡くなると生前、故人と縁の深かった人たちが通夜や告別式に参列して両手を合わせて冥福を祈り、天国へ向かえるよう神様や仏様にお願いします。こうしたしきたりは遥か、大昔から行われてきました。ところが、世の中が経済発展してくると人々の動きが多くなり、ゆっくり暮らしていられなくなってきたわけです。
仕事が増え、日常生活では周囲の人たちとの打ち合わせなども多くなってきました。人が夫々の用事で動き回っている時に友人や知人が亡くなったとの訃報を突然受けても葬儀の予定日時に行かれない人もいます。でも、故人と親しかった人は葬儀に参列できないことを悔やむことになるわけです。
そこで、祭壇で手を合わせて冥福を祈る代わりにせめてもの気持ちとして故人の好きだったものを祭壇にお供えしてもらったり供花する風習が出てきたわけです。世の中の多忙さがひどくなるにつれて突然連絡の来る通夜や告別式に参加できない人が増えてきたためこうしたお供えで弔意を表す風習が根付いてきたといえます。
お供えの送り主が分かるよう、葬祭場に名札を表示して祭壇に準備してもらう風習がすっかり定着してきました。近年はこの風習が変容し、お供え物として供物や供花を考えるよりも喪主に金銭を渡す人が増えてきましたが、これが香典と呼ばれています。昨今は香典持参が一般的ですが、葬儀の供花を並行して行う人もいるということです。